これまでに85話のコラムを書いていますが、一番アクセスの多いのは、ナンバー2について書いたコラムです。

 

第3話:優れたナンバー2の条件

 

世の中には、「ナンバー2」をキーワードにしてネット上で情報検索をしている人が相当数いることは、事実のようです。

 

上記のコラムでは、ナンバー2には2つの種類があることを述べました。

 

一つは、経営者の完全なサポート役に徹するという意味でのナンバー2で、もう一つは、次期社長候補という意味でのナンバー2です。

 

完全なサポート役としてのナンバー2とは、言い替えると、一人で経営の采配をしてきた創業社長が、今後一層の社業発展を考えたときに必要になる右腕としての人物です。

 

あるいは、後継者として先代から社業を引き継ぐ二代目・三代目社長が、守り抜くべきものを見極めながら、事業承継を機に、企業の変容を起こすために必要となる参謀としての人物です。

 

次期社長候補としてのナンバー2については、読んで字のごとしで、多言を要さないはずです。

 

でも、ナンバー2の種類を扱う場合、この2つの類型だけではすべてをカバーしていることになりません。

 

もう一つ、ナンバー2には、忘れてはならない役割モデルがあります。

 

それは、共同経営者としてのナンバー2です。

 

ホンダの本田宗一郎氏と藤沢武夫氏、ソニーの盛田昭夫氏と井深大氏と聞けば、おおくの人が、二人で一つとなって企業を成功に導いた名経営者コンビと答えるはずです。

 

この場合のナンバー2の特徴のを2つあげるなら、一つは、創業時のときからすでに二人三脚であること、もう一つは、社長と副社長とか社長と専務といった肩書きの違いはあっても、厳密にどちらがナンバー1で、他方がナンバー2であるという線引きがしずらい関係性であるということです。

 

世の中では、理想的な共同経営のあり方として、ホンダやソニーを題材として取り上げることがおおいのですが、そんなことを研究してみたところで、共同経営の極意は見つからないでしょう。

 

なぜなら、後にも先にもホンダやソニーくらいしか成功事例がないということ自体に、本質的には共同経営が難しいという結論が含まれているからです。

 

私もかつて、一度共同経営を試みたことがありましたが、うまく行かずに袂を分かつ経験をしました。

 

だから、アドバイスをするならば、こうなります。

 

起業をするときに、共同経営は考えるな。特に友人と手を組まないこと。

 

したがって、共同経営におけるナンバー2論として、何ら語るべきことはありません。

 

ただし、ホンダの藤沢武夫氏が著された『経営に終わりはない』は、経営に携わる人であれば、ぜひ手にとって読むことを勧めます。

 

本田宗一郎氏は表看板だったので、名言として取り上げられる言葉も多く、目立った存在でした。

 

一方で、裏方を一手に引き受けた藤沢氏はマスコミ嫌いだったこともあって、派手な振る舞いもありませんでしたが、語っている言葉は地味ながら、一本筋が通った経営者の覚悟と矜恃を強く感じます。

 

本を読むと、本田宗一郎氏との関係性については、一回限りの特異で強固な絆があったことが分かるだけで、そこから汎用的に導き出せる知見はそれほどありませんが、経営者としての心意気とか達観とか洞察力については、時を超えていまなお学ぶべき叡智が盛り込まれています。