経営において、意思決定(ディシジョン・メイキング)が重要であると、すべての社長が口にします。

 

でも実際には、なかなか自信をもって意思決定ができないことに、悩みを抱えている社長がおおいのも事実です。

 

その原因はいくつかありますが、真っ先にあげるとしたら、「そもそも何を決定するのかが明確ではないこと」になります。

 

「そんなバカな」と思われるかもしれませんが、経営者の話を聞いてみると、意思決定の入口段階でつまづいている方が驚くほどたくさんいます。

 

経営者の抱えている問題や悩みごとについて、その内容ではなく、構造に着目して整理していくと、大きく3つのパターンがあることがわかります。

 

タイプA: この先△△はどうなるだろう? もし〇〇になったらどうしよう。
タイプB: どちらを選ぶべきか? どの方向へ進むべきか?
タイプC: もしこのプランを実行したら、△△にはメリットがあるが〇〇には大きなマイナスが・・・

 

タイプAは、未来のシナリオに対する不確実性、つまりは未来に関する情報の判断をどうするかが問題の本質になります。

 

タイプBは、進むべき方向性、つまり代替案の問題になります。

 

タイプCは、価値判断基準、つまり「誰を」あるいは「何を」満足させることを優先させるか、つまり絶対に譲れない制約条件の設定やトレードオフをどうするかの問題になります。

 

これら3つのタイプは、そのまま意思決定におけるフレーム(枠組み)に当てはまります。

 

そして、意思決定において「何を決定するのかが明確である」とは、最初に適切なフレームが設定されていることを意味しますが、それが出来ていない場合がおおいのです。

 

社長自身はタイプBの悩みを抱えていて「どちらを選択すべきだろうか?」という問いをたてている場合でも、よくよく話を聞いてみると、タイプAの不確実性の判断が行われていないことが悩みの原因であることもしばしばです。

 

またタイプAの語法で「将来、市場が縮小した場合どうしよう?」と語っている社長の話を聞いてみると、「社員は解雇したくない」という拘りを強く持っていて、結局はタイプCの価値判断基準についての検討が行われていないことが、不安の源だったという事例がありました。

 

日本の大手企業を見ていて感じることは、意思決定のフレーム設定という戦略的自由度の高いことがらに対する経営トップの関与の低さです。

 

フレーム設定次第で、代替案の種類や検討範囲が大きく左右されるにも関わらず、そこを明確にしないままに、ミドル・マネジメントが設定したきわめて狭いフレームの中で〇×式の案件決裁をすることを仕事としているのが、おおくの経営者の実情です。

 

中小企業においてはさらに状況はシビアです。起案をしてくれる優秀なミドルすら存在しないのですから、経営者自らが企業全体を見渡して適切なフレーム設定を行い、同時に施策も考える必要があるのですから。

 

したがって、経営課題と向き合うときには、最初に適切な意思決定のフレームを設定することを十二分に意識していただきたいと思います。

 

動的安定経営の導入にあたっては、意思決定のフレーム設定を手始めにプロセスを明確化します。また、迅速性・納得性・論理性を高めるために、特にタイプCにおける価値判断基準を明確に定義することが含まれています。