名作漫画『エースをねらえ!』での名セリフ

「急がば回れ」という格言に従い、一見すると遠い地点から話をスタートします。

 

往年の名作漫画『エースをねらえ!』第7話で、藤堂への想いに揺れ動く岡ひろみに対して、宗方コーチはこう言いました。

 

 

「女に価値があれば男は待つ・・・男を待たせるだけの女になれ!」

 

 

また、宗方コーチは第7話に先立つ第5話で、藤堂に対してつぎのように言っています

 

 

「同じ相手に打ち込む者として言う。男なら、女の成長を妨げるような愛し方はするな!」

 

 

宗方コーチは、これらの言葉によって伝えたかったメッセージは、「男に支えられない女は弱い」ということです。

 

フェミニズムを信奉する女性には、受け入れがたい解釈かもしれませんが、男尊女卑の話がしたわけではありません。

 

理解して欲しいことは、「支える」と「管理する」の違い、そして「大切にする」と「所有する」の違いの区別を明確にすることです。

 

男が女を「護る」には、二つの方法があります「女の成長を妨げる」護り方と、「女の成長を待ち望む」護り方です。

 

女を管理し、所有し支配しようとする男は、女の成長を望みません。

 

彼女の社会的能力が低く、十分な収入も威信も得られない状態に留まり「あなたがいないと、私は何も出来ないの」という言葉を彼女が口にすることを待ち望んでいる。ほとんどの男は、このような護り方しか知りません

 

それとは逆に、「女の成長を待ち望む」男は、彼女の自立を、つまり彼女が「支えなし」でも生きていけるようになる日をその男自身が不要になる日を逆説的に待ち望んでいる。

 

真の成長とは「他者を不要とするまで自己完結する」ことではない

実は、経営者とコンサルタントの関係も男女の関係に似たところがあります。

 

男をコンサルタント、女を経営者に置き換えるとわかりやすいでしょう。

 

へっぽこなコンサルタントは経営者を管理し支配しようとするがゆえに、経営者の成長を望みません。

 

社長の経営能力が足りず、自信が持てない状態に留まり、「先生がいないと、私は何も出来ない」という言葉を社長が口にすることを待ち望んでいます。

 

それとは逆に、できたコンサルタントは、経営者の成長を待ち望んでいます。そして、社長が自立して「支えなし」で経営をしていけるようになる日を、当のコンサルタントが不要になる日をゴールと見定めているのです。

 

しかし、女の成長を望む男にしろ経営者の成長を望むコンサルタントにしろ、どこか思いと行動が矛盾している人間に思えるかもしれませんでも、これこそが真に賢い考え方なのです



なぜなら、「本当に成長する」とは、「他者を不要とするまで自己完結する」ことではなく、「人間の成長には終わりがない」ことつまり「どこまでいっても人間は他者の支えなしには生きられない」ことを学ぶことだからです。

 

そいういう意味で、男女関係で言えば「男に支えられない女は弱い」と言っているのであり、「男」とか「女」というのは一つのメタファーに過ぎません。

 

したがって、企業経営に置き換えればば、「外部ブレーンに支えられない経営者は弱い」ということになります。

 

「自立」とは他者との間で双方向的な存立の基盤を形成すること

そうなると重要になるのは「自立」という概念の洗い直しです。

 

「自立」とか「独立」とか簡単に人は言いますがそれは単に世帯主として生計を立てるとか、一人で暮らしているということではないでしょう。

 

そんなことなら、ちょっと頑張れば誰でもできます自活できることは「自立」の必要条件ではあるけれど十分条件ではありません。

 

我々は何かに依存しなければ生きてゆけないこれは事実です。同時に我々は自己責任おいて決定を下すべきだこれは理念になります。

 

だから、「自立」とは、単純に「自立できている」ということでも単純に「依存している」ということではなく、「自立しつつ依存している」という自己のあり方に対する矛盾を含んだ知的認識なのです。

 

「自立」と言っても人間一人では生きていけないので、「自立している人」というのは、「自立」しているがゆえに他者から得られる「承認」と「敬意」を支えにして立っているのであり、孤高を保っているのではありません。

 

だから、自立している人間ほど、「他者から頼られ」「他者と交流を持つ」ことになります。

 

しかし、この「自立」を実現することは難しい。

 

なぜならもし人が堅牢な地盤の上にがっちりと足を踏ん張って立っているなら、自分の回りに他者がまとわり付いてくると、じきにバランスを崩して倒れてしまうからです。

 

だから本当に「自立している」人間は、「自分を支えとして絡んでくるもの」を逆に自分の「支え」として立つことが出来る必要があります

 

いわば、相手の力を全面的に利用してしまう「柔術の極意」を体得しているような人ということになります。

 

逆に「自立できていない」人間は、「どこかに堅牢な地盤があるに違いない」と信じてそれを必死に探しています。

 

だが、そもそも世の中というのは動的な力学バランスをとって存在しているので探し求めている「堅牢な地盤」などあり得ないのです。

 

静的な安定経営は危険で動的な安定経営を目指すべき

いままでの経営の主流は、「静的安定経営」でした。

 

静的安定経営とは、あり得ない「同じ堅固な基盤」の上にとどまって、「常に変わらぬ愛情」で女を抱きしめるような男に似ています。

 

果たして、静的安定経営は企業の「支え」になるのでしょうか。

 

その答は、「支えにならない」です。

 

なぜなら、経営環境は変わるからです。「支えになる」というのは、「一ヵ所にじっとしている」ことでも、「しっかりした基盤を作る」ことでもありません。

 

これからの時代に「支えになる」経営スタイルは動的安定経営に他なりません。

 

動的安定経営とは、市場あるいは顧客との関係の中で絶えず自社のポジションをシフトしていきながら、実は現実に迎合しているだけではないと言い切れる基軸を明確にしている経営を指すのです。