優れた経営とは
「考えて生きている人」と「考えて生きていない人」の2タイプ
世の中には考えて生きている人と、考えないで生きている人がいます。
そして、本当の意味で考えて生きている人は、絶対に成功します。
この法則はあらゆる分野の人に当てはまることですが、特にビジネスの世界では、この2種類の人の違いがはっきりと結果に出ます。
ビジネスで成功するために一番重要なことは、頭がいいかどうかでも、才能があるかどうかでもありません。
どれだけ深く考えているか、そして、どれほど長く考え続けているかこそが重要なのです。
「考えている社長」と「考えていない社長」の違いとは
残念ながら、多くの社長は考えているようで、実は考えていません。
たとえば、「会社を成長させたい」と言う社長は多いけれど、そういう社長が「会社が成長するとはどういうことか」についてネチっこく考えているかというと、考えていないことが多いのです。
自分にとっての経営とは何であり、優れた経営とはどのようなことを指すのか、その「経営とは」の定義づけを自分の中に持っていない社長が多い。
でも、「優れた経営とはそもそもどういうことなのか」が明確でなければ、いくら頑張ってみたところで、優れた経営が実現するはずはありません。
「売上と利益を伸ばす」と言う社長は多いですが、それは典型的な考えていない社長の答です。なぜなら、売上と利益は結果に過ぎないからです。
たった一つの正解がない「優れた経営とはなにか?」への答え
では、優れた経営とは何を指すのでしょうか。
先ほど述べた通り、実はこの問いに、社長全員に当てはまる模範解答はありません。
自分にとって優れた経営とはどういうことなのか。逆に、劣った経営とはどういうことなのか。
それを深く考えることで、自分にとっての優れた経営と劣った経営の境目を見つけていくこと。
それが、各社長にとっての、この問いに対する答えになるのです。
「考えている人」と「考えていない人」
ホワイトカラーとブルーカラーという言葉があるように、仕事には頭脳労働と肉体労働という二つの分類があることになっています。
そして、ホワイトカラーは頭を使っているけれど、ブルーカラーは頭を使っていない、というイメージがあります。
でも、それは大いなる勘違いです。
どんな職業、職種の人であっても、考えている人は考えているし、考えていない人は考えていません。
社長であっても考えていない人はいるし、一方で職人さんの代表格である大工さんでも、考えながら仕事をしている人はたくさんいます。
考えながら造作をしている大工さんと、何も考えずにやっつけ仕事をしている叩き大工さんでは、当然出来上がった家に大きな違いが現れてきます。
こう言うと、賢明な方はこう考えることでしょう。
考えている大工さんはいい家を建て、考えていない大工さんはダメな家を建てるに違いない。
しかし、ことはそう単純ではありません。
確かに考えていない大工さんがいい家を建てることはありません。
でも、考えた大工さんが必ずいい家を建てるとは限りません。
「考える」の先にある「“なに”を“どこまで”」
どんな家になるかは、大工さんが「なに」を考え続けてきたかによって違ってくるのです。
大工さんが、なるべくコストを抑えることを考え続けて建てた家は、徹底的にローコストの家になるでしょう。
一方で、どうしたら木肌の温もりのある家になるのか、ということを考え続けた大工さんが建ててた家は、住み心地の良い家になるはずです。
どうやったら儲けが大きくなるかを考えて家造りをする大工さんと、どうしたら家族が幸せに暮らせる家になるのかを考えて家造りをする大工さんでは、行き着く先は当然違ってきます。
「頭がいいか悪いか」より「考えているか考えていないか」が重要なように、同じ「考えている」でも、「なに」を考えているか「どこまで」考えているかということが、さらに重要なのです。
経営者とは「経営とは何か」を考え続ける者
- 経営の基本とは何か。
- 何のために企業経営をするのか。
- 優れた経営とはどういうことか。
こうしたことを考えずにただ漠然と、いい会社にしたい、いい経営をしたいと思っていても、決して実現することはないでしょう。
私見を申し上げると、経営の基本は「自らの強みを生かして社会の役に立つ」ことだと考えています。
自社の強みは何か。その強みを生かして誰の役に立つのか。どうやって役に立てるのか。それが社会においてどう役立つのか。
こうしたことを考える最大の意義は、仕事における軸がブレなくなることです。
軸がブレるときは、たいていの場合、視点がどこか一ヵ所に偏ってしまったときです。
会社の役に立とうということばかり考えていると、どうやったら売上があがるかばかりを考えてしまし、顧客を疎かにすることになります。
反対に「お客様は神様です」とばかりに、顧客の要望にご無理ごもっともと従い続けていたら、仕事の本質を見失うおそれがあります。
より高い視座から俯瞰することが必要になります。
顧客が満足しているかどうか、その満足を通して社会に役立っているかどうか、そして自社の強みを生かしているかどうか、この3つが見えていれば軸がブレることはありません。
深く考えるということは、さまざまな視座と視点で、ひとつのものごとを考え続けることと言い替えることができます。
だから、人は何かについて深く考えると、そこに成長が起きます。
したがって、経営者とは、経営についての答えを知っている人ではありません。
無知の知であるがゆえに、経営について飽くことなく深く考え、仮説と検証を繰り返し続けている人、それが経営者なのです。
社長であると同時に、経営者と言えるかどうか、自らに問い掛けてみてください。