「不況だからものが売れない」は間違い

春節の休日を利用して日本に来る中国人

今年の春節*は2月5日から始まりますが、日本は人気の渡航先なので、多くの中国人観光客が訪れることが予測されています。

*春節:中国・中華圏における旧暦の正月にあたり、中華圏で最も重要とされる祝祭日

 

少し前までは、中国人観光客による「爆買い」が話題になることが多かったのですが、最近では「爆買い」という表現がメディアの表現の中で減りました。

 

その理由として、「中国人もモノからコトへの消費にシフトしている」とか、「中国の景気に頭打ち感があり消費マインドが冷え込んでいる」というようなことが言われています。

 

事実はどうかと言うと、観光庁が発表している平成28年度版『訪日外国人の消費動向』によれば、一人当たりの旅行中支出額が最も多い国はオーストラリアで246,866円です。中国は、231,504円で2位となっています。

 

費目別にみる 訪日外国人1人当たり旅行支出 (国籍・地域別)
出典:平成28年度『訪日外国人の消費動向』-観光庁

さらに、支出先の内訳を見ると、買い物代については122,895円で中国が圧倒的な1位となっているので、訪日する中国人がたくさん買い物をしている傾向に大きな変化はないようです。

 

なぜ中国人は日本でたくさん買い物をするのか

こうした状況を見て、何を感じるでしょうか。「やっぱり中国人は金を持っている、まだまだ成長が続いているので、どんどん金を使ってくれる。それに比べていまの日本人は」・・・と思った人は、思考の罠にはまりこんでいます。

 

中国人は、なぜ日本で大量の買い物をするのでしょうか。行動の原点がどこにあるのかについて、あらためて考える必要があります。

 

「金持ちだから」という答は、間違っています。彼らは、金が余っているから日本に来ているのではなく、欲しいものがあるから日本に来ているのです。

 

不況だからものが売れないのか?

中国人観光客の購買動機を鑑みると、「不況だからものが売れない」という長らく日本国内に蔓延している考え方が誤りであることに気付きます。不況だから売れないのではありません。

 

景気が良くなれば売れるようになるのではなく、売れるから景気が良くなるのです。そして、景気を良くするのは政治家ではなく、経営者の仕事です。

 

21世紀に入ってから日本の経営者は、「金がないから買えない」「安いものしか売れない」という現状認識を思考の前提にしています。その結果、人件費を含めたコスト削減に精を出し、安売りを続け、デフレから抜け出せない悪循環に陥っています。

 

本当は、金がないから買えないのではなく、欲しくないから買わないだけです。

 

だから、欲しいものであれば買う。

 

「間違った問いに対して正しい答えを出す」ことを続けていると、頑張れば頑張るほど状況を悪化させていきます。

 

そろそろ、「どうしたら安くて高品質なものを作れるか」という問いに対する答えばかりを追いかけるのを止めて、「貯蓄を控えたり、貯金を取り崩したり、場合によっては借金をしてまで欲しいと思えるものとはなにか」という問いに、勇気を持って置き替えることが求められています。