結果に結び付かなくても価値あるプレーとは

サッカーの試合を見ていると、ゴールには結び付かなかったプレーに対して、「いまの展開はよかったですね」と解説者が口にするのを聞くことがあります。

 

常識で考えれば、点に結び付かない攻撃に価値はないはずです。

 

しかしその後、同じような攻め口からゴールが決まることがあります。

 

その道のプロが言うことは、あながちウソではないということです。

 

スポーツの世界以外に目を転じると、「ミスをしない対局はほとんどない」と、将棋の羽生善治名人が言っています。

 

ただ、そのミスは明らかなミスではないとのことです。

 

ミスには、「明らかなミス」と正解に近い「ニアミス」があり、プロは明らかなミスはしないので、分かりにくいだけだと言うのです。

 

私は、サッカーも将棋も素人同然ですが、学生時代にやっていた剣道やアイスホッケーのプレーを見ると、筋の良いプレーとそうでないプレーは簡単にわかります。

 

そして、一本やゴールに結びつかなかったプレーから、その選手やチームの実力をうかがい知ることできます。

 

失敗のレベルを上げることが重要だ

実は、どんな分野でも、実力を付けていくことは、この「ニア」のレベルを上げていくことなのです。

 

このことは、経営の実力を上げていく場面にも当てはまります。

 

そのための唯一の方法は、闇雲に頑張るのではなく、考えて行動をすることを続けることしかありません。

 

考え、アイデアを出し、ときに情報を集め、パンパンに膨らんだ頭から行動を通じて不要なものを削り落とし、またパンパンに膨らんだ頭から同じく行動を通じて不要なものを削り落としていく。

 

一見すると遠回りなようですが、それを繰り返すことでしか、経営の実力は上がっていきません。

 

成功からは学ぼうとうするから失敗する

しかし、そのように日々努力を積み重ねているにも関わらず、思ったように成果が上がらないならば、可能性は一つに絞られます。

 

それは、削ってボツにした案やアイデアをきちんと消化していないことが原因です。

 

人間の性として、成功と失敗があると、成功を見てその秘訣を知ろうとします。

 

でも、成功をいくら見ても、本当に大切なことは分かりません。

 

成功の型は常に変化しているからです。

 

時代によって人が求めるものは変わるし、相手によっても求めるものは異なります。

 

だが、失敗の要素というのは、時代が変わっても、相手が変わっても、実はあまり変化しません。

 

だからこそ、ボツをしっかり検証して、明らかなボツとニアなボツを識別していくことが、経営の実力をあげていくために不可欠なことなのです。

 

明らかなボツを知り、その要素を一つずつ取り除いていけば、結果的に成功の確率は上がっていきます。

 

プロが明らかなミスを犯さないのは、正解を知っているからではありません。

 

明らかなミスとは何か分かっていて、それを選択肢の中から排除しているからなのです。

 

ビジネスにおける明らかな失敗とは何か?

ビジネスにおける明らかなミスとは何でしょうか。

 

営業力が弱いとか、資金が足りないとか、クラブ通いにハマって交際費を使いすぎたとかではありません。

 

永久に機能するビジネスモデルや収益をあげ続ける事業は基本的に存在しない。この事実を経営のスタート点にしないことです。

 

たまたまではなく、継続的に会社を繁栄させることができる社長は、この事実から目を反らさずに受け止める勇気を持っています。

 

そのために、現在のビジネスがあと何年くらいで下り坂に入るのか、それまでに何をしなければならないのかを明らかにし、的確に手を打つことがてきるのです。

 

いまの時代は、相手と自分の立っている位置関係が、いつ逆転するかが分からない非常に不安定な時代です。

 

織田信長が火縄銃を手に入れたことで、当時圧倒的に強かった武田勝頼率いる騎馬隊を破った長篠の戦いのようなことが、いつどこの業界で起きても不思議ではありません。