iPhone6/plusに感じた3つの?

iPhone6/plusが9月19日に売り出されてから1ヶ月弱が経過して、私の周囲でもiPhone6/plusを手にしている人が多くなりました。

 

マスコミがネタにしたがっていることも手伝って、新型iPhoneを誰よりも先に手に入れたい人たちが、アップルストアの前に1週間以上前から泊まり込みをする姿がこの時季の風物詩のようになりました。

 

今年はワケの分からない人々がたくさん列に紛れ込んでいて物議をかもしていたけれど、依然として本物のエバンジェリストがたくさん存在するアップルは、ブランドという意味では相変わらず強さを証明していることは間違いないようですね。

 

しかし一方で、サプライズに値する目新しさが年を追うごとに失われているのも事実じゃないでしょうか。

 

昨年の新製品の発表で、iphone5C、iOS7、指紋認証、docomoでの取り扱い開始が発表されたとき、情報量は多いけれどイノーベーティブという点では物足りなさを感じましたが、今年は前回の5S、5Cの発表よりも、さらに「ふ~ん」としかいいようがない感じでした。

 

何しろ「本命」と思われた「iWatch」が、「Apple Watch」と名前を変え、しかも一見してありきたりな腕時計。あれで驚けという方が無理でしょう。

 

ただ、私は「もしかして、6Plusはいいいかも」と思いました。なぜか?
それは、画面サイズに視力がついていかなくなってきたからです。
はい、理由は老眼のせいです。

 

つぎに、事前にリークしていた情報があまりにも正確だったことも驚きの一つでした。

 

これは、アップルの情報管理力が低下しているということになりますよね。

 

その結果、アップルストアに並ぶ人の数だけは増えたけれど、ジョブズが生きていたころの神がかったプロモーション自体が影を潜めてしまいました。(事前リークの情報が正確になったのはiPhone5S/5Cからでした。つまり、ジョブスがこの世を去ってからということになります。)

 

いままでは新しい製品を出すたびに、イチイチ発表を匂わせ、もったいつけ、ジョブズ入魂のプレゼンテーションで大々的に発表し、熱が冷めないうちに即座に世界中に流通させ、そのすべての過程をアップルは完全にコントロールしていました。

 

さらに3つ目は、アップルの、というよりはジョブズの頑なともいえる集中と選択路線、あるいは価値重視の戦略から市場シェアの戦略へのシフトが確定的になったということです。

 

現に、発表会直後は、「サプライズを起こせなかったAppleも、いよいよオワリ」という論調もあったけれど、あにはからんや、受注は日米を問わず好調だということです。

iPhone 6/6 Plusの売れ行きは新記録―発売直後の週末で1000万台 : TechCrunch

 

アップル自体が変化した

そもそもiPhone6/plusは、販売方法そのものが高額な下取りプログラムや月々サポートなどで価格を下げ、シェアを取りに来ています。

 

シェアを気にしないというジョブズ流からすれば大転換というほかないでしょう。

 

ところで、なぜiPhone6/plusは売れているのでしょうか?

特に6plusの売れ行きが良いことから考えると、画面サイズという極めてシンプルな欲求にユーザーの多くは飛びついたことになります。

 

製品が複雑なウォンツ型から、シンプルなニーズ型へと変容したのでしょう。

 

ジョブズが、ブラックベリーをはじめとする「キーボードスマホ」を、「こんなのアカン!」と切り捨て、iPhoneを紹介した瞬間から、スマホ時代は幕を開けました。

 

その時点では、iPhoneを求めるユーザー・ニーズはどこにもなく、ジョブズによってはじめてウォンツが喚起されたわけです。

 

しかし、ウォンツを喚起するイノベーティブなモノだとかコトであったとしても、生活を「楽にする」「便利にする」という欲求にアプローチしている限り、それは時間の経過とともに「なくてはならないもの」へと変化していくという悲しい現実があります。

 

そして、ニーズ対応型の製品になった途端、ユーザーはベタなスペックの違いを求めるようになります。

 

今回、iPhone6/plusがかつてないほど売れているという事実が指し示すことは、イノベーター理論に照らして言えば、iPhone自体がレイト・マジョリティ向けの商品になったということです。

 

もともとアップルの戦略は、業界のスタンダードを狙わないことでした。マイクロソフトのビジネスモデルがデファクト・スタンダード狙いとするなる、アップルのそれはブロックバスター(圧倒的な大ヒット製品)狙いだったはずです。

 

しかし、企業規模が大きくなったうえに、カリスマ創業者が亡きアップルは「新しい市場の創造」から「現実の市場への適応」への転換を図った、あるいは余儀なくされたと私の目には映ります。

 

高い利益率を守る、ブランド価値を守る、シェアを気にせずユーザーを確実に囲い込むというジョブズの思想から、アップルの今回の発表イベントは、アップルが限りなく普通の企業に近づいた記念イベントだったのかもしれません。

 

アップルを他山の石に

製品にはプロダクト・ライフサイクルがあるので、最初はイノベーターやアーリー・アダプターだけが受け入れるイノベーティブな製品であっても、普及を進めるためあるいは普及が進んだ結果、主たるユーザーがレイト・マジョリティへと移っていくことは驚くことではありません。

 

次のイノベーティブなモノやコトを生み出せるかどうかこそが重要です。

 

現在のアップルについて言えば、iPad以降のイノーベイティブさを売りモノにしたブロックバスターが出てこないという点にこそ課題があるはずです。

 

変化に対して受身にならずに、自ら変化を次々と生み出し、高付加価値を市場へ提供し続けることこそ、アップルに限らず規模の大小・国籍の別を問わず、企業経営において最も重要な戦略的課題であることを経営者は自覚する必要があります。

 

「アップルほどの企業だから、そんなこと出来る」と、最初から諦めている社長もいますが、それは誤解です。

 

全ての会社には「本物の強み」があり「実現した未来」がある。それを生かしてビジネスを展開すると決断するところから、すべてが始まるのであり、ジョブズもその一点からスタートしています。

 

「自分はなぜ今の仕事をしているのか?」経営者としてあらためて自らに問い掛けてください。